才能は伸ばせる
はじめに
「才能の正体」を読み終えました。著者の坪田信貴さんはあの「ビリギャル」を書いた方だそうで読みながら知りました。
しばらく積読していたのですが、たまたまネットラジオで『「頭を良くしたいなら、〇〇」と老投資家から教わった話』を聞いたとき、近しい雰囲気の本があった気がすると思って、引っ張り出したところ、すごくリンクしたので一気に読み切り、そのままの勢いでこちらを書いています。こういうのがあったりするから読書はやめられない。
要約
著者の主張を端的に表すならば、才能は最初から突出しているのではなく、「元々持っている可能性を、正しい努力で、徹底的に磨きあげることで成果が出て、結果的に才能があると言われるようになる」ということです。
才能は元から誰にでもあるのに、「地頭が良くない」とか、「才能がない」と思い込んで自ら壁を作ってしまっているという主張です。
本書では、才能とはそもそも何なのか、どう見つけて、どう伸ばしていけばいいのかを、著者の塾講師の経験や心理学的観点からまとめられています。
これ以降は私が特に印象に残った点について、書いていきます。
地頭の良さはある?ない?
この点に関して著者は、頭のいい人は確かにいると述べています。私の体感としてもいる気がしますし、かなり昔に読んだ「言ってはいけない 残酷すぎる真実」でも、努力は遺伝に勝てないというような、頭のいい悪いに近いような話がデータとしてあったような気がしています。
仮にそれが事実だったとしても、それを理由にして諦めてしまっては歩みが止まってつまらないので、地頭の良さはある、という前提を受け入れた上で、そこからどうするのが自分にとって最適かを考えて行動する方が建設的ですし、それによって昨日より今日、今日より明日が変わっていると感じられる方が楽しいと思います。
著者も「才能は自分の中にしかない」と言っており、前提条件を把握した上で徹底的に自分と向き合うしかないのだと思います。
すごくできる人の言うことは聞かない
では、どうしたら才能は磨かれるのか?それは徹底的に真似ることです。真似る際のポイントは、「言うこと」ではなく「行動」を完コピするのがミソです。
著者によると、「すごくできる人は、自分がどうしてそれができているのかがよくわかっていない」とのことです。
ここから個人的に思い起こすのは、野球選手で有名な長嶋茂雄さんの「来た球をパッと打つ」です。すごい選手だったのは間違いないですが、言葉だけを聞いてもさっぱりわからず、真似ようと思っても難しい。
もっと身近な話として、自分の学生時代の友人で、国語は得意で数学が苦手と言っている人がいました。彼は塾講師のアルバイトをしていて、得意な国語を教える方が簡単なんだろうと思っていましたが、「国語は何がわからないかがわからないから教えるのが難しいけど、数学は何がわからないかがわかるから教えられる」というようなことを言っていました。
このようにすごくできる人の「言うこと」は真似るのが難しいのです。そこで著者が推奨しているのが「行動」です。行動であれば見たままを実践すればいいので言葉より簡単で計測もしやすい。可能なら動画を撮ってのが良いとのことです。こうして行動を真似ることで才能の基礎が磨かれます。
才能の「壁」にぶつかるとき
徹底的に行動を真似ていくと確実に成長していきますが、あるポイントで急激に伸び悩むことがあります。これは心理学で「プラトー現象」と呼ばれているようです。スポーツでもよくある「スランプ状態」というやつです。以下のツイートもわかりやすいです。
こういうことが学問的に名付けられているということを知っているだけで、そういうもの、という気持ちになれます。
では、この壁にぶつかった時にどうするか。著者は「本当の基礎の基礎からやり直すこと、これしかない」と述べています。基礎の基礎とはどこまでかというと、英語なら「Aの書き順」のような、もう本当に一番最初。ほんとに?と思いましたが、著者の経験上そういうことらしいので、頭に入れておきたいところです。
できる人は徹底してやり続けている
エジソンの「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」「私は失敗したことがない。ただ1万通りの、うまく行かない方法を発見しただけだ」という言葉はとても有名ですが、天才や才能があると言われる人は、徹底的にやり続けています。
そしてこれは本書で初めて知った言葉ですが、エジソンは以下の言葉も残しているそうです。
もちろん、生まれつきの能力の問題もまったく無視はできない。
それでもやはり、これはおまけみたいなものだ。
絶え間なく、粘り強く努力する。
これこそ何よりも重要な資質であり、成功の要といえる。
生まれつきの能力をおまけと言ってもらえると希望を感じます。学生時代にも感覚としてうっすらと感じていたものですが、ここ数年は体感を持って「やはりそうだよな」と確信めいたところまで来ているので、ここに書いて自分に刻むことで、挫けそうな時に振り返りたいと思います。
最後に
本書「才能の正体」は上記以外にもたくさんの学びがありましたが、特に印象深かったものをピックアップしました。心理学的な側面からの言及が多く勉強になりますし、それを補強する著者の具体的なエピソード自体が面白く読みやすいので、是非気軽な気持ちで読んでみてください。